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物件260 体当たりして勝手口を開ける家

劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック    住まいのリフォーム・リノベーション

 


劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック



階段が邪魔な家(前編)


体当たりして勝手口を開ける家


孫娘が泊まりたくない家


 

住まいのリフォーム・リノベーション
では、
住まいのいろいろな改修方法や
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エコロジーや節約ポイントを紹介。

計画や工事のチェックポイントや
リフォームが必要な時期など、
住まいのリフォーム・リノベーション情報が満載です。

 

物件260 体当たりして勝手口を開ける家  劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック

劇的!ビフォーアフター 物件260 体当たりして勝手口を開ける家(岡山県浅口市 仁科家) で紹介されている、リフォームの役に立つアイデアをチェックしましょう。

今回の劇的!ビフォーアフター 物件260 体当たりして勝手口を開ける家 は、お母さんとおばあちゃん、そして娘さん夫婦と2人の孫を含めた4世代6人が暮らす住まいのリフォームとなります。
築60年の母屋と築43年の離れがある住まいは、離れでお母さんが洋裁を教え、離れの裏の倉庫を娘さんが音楽スタジオとしてボイストレーニングに利用。
生活空間である母屋は亡きおじいさんが増築した部分もあり、湿気が原因で柱の根元が腐ったり、天井のカビが生えたり、勝手口が開きにくくなっています。
道路整備で高くなった道路面に対して敷地が低い状態となり、道路までの距離が狭くなった上に階段を使ってのアプローチが必要で、さらに陽射しも入りにくくなってしまいました。
車椅子が必要なおばあちゃんにとって古い作りの住まいは使いにくく、暗く風通しも悪い部屋で暮らすことになってしまいます。
腐って変形したのか勝手口は体当たりしないと開かないような状態で、風呂場の窓の外に増築した洗濯機置場など、無理している部分もみられます。
物置の床は既に落ちていて、扉付きの階段も急で手摺が無く、隙間風が多い部屋は合板で防いでいます。
段差や水廻りの使いにくさなど、古い住宅らしい弱点に加えて、バリアフリー化も要求されます。

リフォーム予算は2500万円と、そこそこ豊富。
とはいえ、敷地の低さを解消するには、大掛かりな工事が予想されます。
また構造的な補強や増築部分の処理、小部屋に分かれた部屋割りの改善に加えて、バリアフリー化や娘さんのロックテイストな部屋が欲しいという要求の対する回答など、多岐にわたるリフォーム内容やアイデアに注目となりそうです。

物が多く大掛かりな引越しが済んで、まず道路から流れてきた水がたまる庭の庭石や植木を移動します。
内壁や天井や床を解体して構造体があらわになると、やはり腐った部分が多く見つかりました。
シロアリではなく湿気により腐れていて、特に増築部分の周囲はひどい状態。
さらに弱い地盤に立つ鉄筋がないコンクリート基礎にはひび割れが見られ、構造的には問題がたくさん発見されました。

屋根瓦も撤去してブルーシート敷き、増築したコンクリートブロック部分は解体します。
ここで鉄骨を使って柱の足元を固定、ジャッキで住宅の柱から上を1.5m持ち上げます。
この状態で古い基礎を撤去、地盤を30cmほど高くして遮水シートを敷きこみます。
その上でしっかりした鉄筋コンクリートの80cmと高い基礎を新設、道路からの低さという弱点を解消。
土台を敷いてジャッキアップしていた建物を降ろし、基礎と一体化しました。

大きな桧の丸太梁を持ち込み、廊下で分断された部分の柱を抜いて、大空間を生み出します。
床下には断熱材を敷きこみ、外壁や屋根の外廻りは遮熱シートで覆って断熱性能を高めます。
屋根は瓦のように成形されたガルバリウム鋼板を使用、瓦型の断熱材が下につく高断熱仕様です。
トップライトも2つほどつけて、室内の明るさも確保しているようです。
外壁仕上げは焼き杉、昔からこの地域で使われている素材やデザインに配慮した外装を採用しました。

道路側に移動した玄関戸は3枚引き戸、高い道路とほとんど同じ高さの玄関が最短距離で繋がりました。
ここで匠はおばあちゃんの元を訪問、おばあちゃん得意の書道で表札の文字を書いてもらっています。
2階に赤い金属サイディングを持ち込み、室内に赤い壁を作りました。
そこに黒い収納家具を設置、壁の一部には白黒市松模様の吸音ボードも貼って、ミュージシャンである娘さんのロックテイストの部屋として仕上げました。
通常の壁下地の上に断熱材付きの外壁材や吸音効果がある有孔ボードを追加することで、遮音性能を高める狙いもあります。
さらに溝付き金属壁に張り付くマグネット付きの棚板や有孔ボードの穴に付くギタースタンドや棚も追加して、使い勝手を高めています。
床には遮音シートを敷いて、子供の足音対策も兼ねているようです。
おばあちゃんの書いた文字を転写した表札を取り付けて、リフォームの完成です。


リフォームが完成して、道路を仕切るブロック塀は白く化粧直し。
瓦風屋根と焼き杉の落ち着いた母屋の外観が、白いブロック塀と好対照ですが、景観的には白ブロックは微妙かもしれません。
新しいアプローチ部分は板をストライプ状に貼ってアクセント、玄関周りは白木の枠と白壁の組み合わせ、焼き杉の中の玄関部分を強調しています。
玄関引き戸の前には水を防ぐ排水溝付き、大判タイル梁の玄関床とアプローチは段差無くつながります。
玄関の框は高さを5cmとして、車椅子がはいりやすくしていますが、ちょっと微妙な高さかもしれません。
この作りならば、ほとんど段差無しにも出来たはずです。

玄関正面には大容量の下駄箱を配置、横にある飾り棚下収納と合わせて、余裕のある玄関空間を実現しています。
玄関横が古い建具を再利用した2枚引きの障子で仕切られる和室、扉の前にはベンチも備わります。
縁なし畳の和室は絞り丸太の床柱や違い棚を再利用、その床の間はピンク色の壁がアクセントとなります。

玄関正面が、引き戸で仕切られるLDKの大空間。
2本の丸太梁が天井に半分見えて、リビング部分とキッチン部分を軽く仕切っています。
壁は地元の珪藻土仕上げ、造り付けの食器棚の扉には古い建具を再利用しています。
アイランドキッチンは囲いとなる木仕上げの腰壁付きで、屋根にあわせた勾配天井て余裕の高さを確保。
両袖には、侵入防止のベビーゲートが備わります。
高めの腰壁に囲まれるアイランド側はシンクのみ、背面の壁付きワークトップにガスコンロが付きます。
勝手口は位置がそのまま、敷地の高さが上がっているので道路にも出やすくなります。

キッチン冷蔵庫の隣は、古い建具のガラス部分を組み込んだ引き戸で繋がる洗面所。
木製カウンターの上に2つの洗面器が置かれ、正面は横長鏡、背面にはオープンな収納棚が備わります。
ただ使用する家族(視線が低い子供やおばあちゃん)を考えると、縦長鏡2つの方が使いやすかったかもしれません。
子供用のスライド式踏み台が備わり、廊下や階段に通じる扉もあります。
袖壁で仕切られる洗濯機置場の背面には扉付きの収納、その先が浴室です。
浴室は標準サイズのシステムバス、段差無しの手摺付きでバリアフリー対応です。

お母さんの部屋はキッチンを介して水廻りの反対側、廊下とキッチン側2つの扉を配置して、移動しやすくしています。
窓と道路の間には空間が出来たので明るくなり、勾配天井で開放感を高めています。
押入スペースもたっぷり確保、廊下を出るとトイレに近い、バリアフリー配置となります。

おばあちゃんの部屋は、廊下を挟んだ向かい側。
昔の障子と柱で仕切られる部屋は、開け放つとダイニングと一体的に使えます。
お母さんの部屋と同じくトイレに近い配置で、棚と洗面器付きの広い部屋。
ベッドを置いても車椅子で自由に動ける、余裕の広さがあります。
4枚全ての障子を引き込むと、明るい縁側とワンルームにもなり、さらに空間が広がります。
縁側側にある棚を移動変形すると、車椅子が入る机になり、書道が楽しめますが、ちょっとやりすぎ感も。
この広い空間なら、固定式の方がしっかりいつでも使えそうです。

庭は少しコンパクトにまとめ、庭木は少なめとして芝生をつかって、駐車場部分を仕切る塀で囲うことで手入れのしやすさを優先しています。
その塀は伝統的な竹を芯とした土塀を再現、地元の万成石を使った石塀を組み合わせています。
その庭にはスロープも付いて、駐車場から車椅子で縁側前のデッキ部分に通じます。
道路側以外の母屋の外壁は白い壁、デッキから庭に下りる幅広階段も備わります。

緩くなった手摺付きの階段で2階に通じます。
2階の窓は気密性の高いサッシとなり、天井は小屋組みを見せる勾配天井として開放感を高めています。
ベッドスペースの奥が娘さんのロック空間、2面の引き戸で仕切られるそのスペースは、扉を開ければベッドスペースとワンルームになります。
ロック空間の隣が通路兼勉強スペース、机カウンターが付いて、隣にはトイレもあります。
ベッドスペースの壁1面には収納スペースを確保、新しく出来たベランダ側には大きな掃き出し窓が付き、明るさと物干し空間を生み出しています。
この2階はベッドスペースとロック空間の2つに仕切られ、子供が大きくなったら仕切って使えますが、子供部屋はどちらも男の子なので共用でしょうか。


今回の 劇的!ビフォーアフター 物件260 体当たりして勝手口を開ける家(岡山県浅口市 仁科家) は、高くなった道路に合わせて建物を嵩上げするジャッキアップが印象的でした。
道路の高さに遮られる建物の環境を改善する為に、建物をジャッキアップして高い基礎として更新。
同時に道路までのアプローチや湿気も改善、大きな梁を追加して大空間を作り出すアイデアも注目でした。
同時に動線も整理され、バリアフリーとしても効果が高い空間のつながりが実現されていました。
2階のロック空間にも実用的なアイデアが詰まっていて、使いやすさに機能性を追加していました。
周囲の地盤面の変化に対するリフォームに加えて大空間を生み出す、一般的な古い住まいにも活用できそうな内容とアイデア豊富なリフォーム内容だったといえそうです。

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