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物件258 玄関まで40メートルもある家

劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック    住まいのリフォーム・リノベーション

 


劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック



孫娘が泊まりたくない家


玄関まで40メートルもある家


天井から子供が落ちてくる家


 

住まいのリフォーム・リノベーション
では、
住まいのいろいろな改修方法や
必要なコスト、快適さの追加や
エコロジーや節約ポイントを紹介。

計画や工事のチェックポイントや
リフォームが必要な時期など、
住まいのリフォーム・リノベーション情報が満載です。

 

物件258 玄関まで40メートルもある家  劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック

劇的!ビフォーアフター 物件258 玄関まで40メートルもある家(和歌山県橋本市 森家) で紹介されている、リフォームの役に立つアイデアをチェックしましょう。

今回の劇的!ビフォーアフター 物件258 玄関まで40メートルもある家 は、車椅子が必須となり介護施設に入所中のおじいちゃんを自宅に帰すために、おばあちゃんが住む家のリフォームとなります。
おばあちゃんも足が悪く、おじいちゃんと一緒に暮らすには本格的なバリアフリーリフォームが欠かせません。
また娘さん夫婦と一人息子の家族がアメリカから帰国していて、リフォーム完了後はご両親と5人での同居になる予定です。

現場は広い敷地に建物がコの字型でいっぱいに連なるところで、20年前に廃業した織物工場はそのまま、本来の住まいである母屋部分は古さが目立つ状態です。
もちろん玄関の敷居の段差や土間との段差などの障害も多く、出入りしにくい母屋からではなく、比較的出入りしやすい工場の入口から遠回りして母屋に入っている状態。
母屋部分は古いながらもしっかりした日本家屋の造りで、おじいさん自慢の住まいでもあったようです。
現在、おばあちゃんは床が低く椅子を使わずに生活できる工場からの続き部屋に暮らしている状態です。
2階への階段は押入内の急なもの、おばあちゃんはここを頻繁に上り下りしていて、もちろん危険。
水廻りは増築した部分で、さらにリフォームしていたのですが、そこまで到る廊下が20m程もあり、段差も多くて使いにくい状態です
工場の部分には既に織り機は無く、トラス構造の梁は比較的しっかりした状態で残っているようです。

リフォームの予算は3000万円、費用としては十分ですが工場も含めるとかなり広く、古い作りなので工事費も高目となる可能性があります。
そこで無駄な部分をいかに減築するか、また段差が多い住まいをどのように本格的なバリアフリー化するのか、という点に注目のリフォームとなりそうです。

工場に残る荷物が多く大掛かりな引越しの途中で、たくさんの織物や織り機のパーツが見つかりました。
ようやく引越しが済んで、 いよいよ解体作業が始まります。
アメリカでハンディーマンと呼ばれる住宅の細かな補修を仕事にしていた娘さんのご主人も参加、再利用できる板などの部分は慎重に解体していきます。
その途中で床下に井戸を発見、まだ水がたまっている状態です。
母屋部分は大部分はそのまま残し、工場部分を新しい住居スペースのメインとするようです。
ただ工場と倉庫の継ぎ目の部分には隙間があり、漏れた雨によって柱が腐っていました。
そこで倉庫部分は解体して減築、広い庭が生まれると同時に工場部分の陽当たりも良くなりました。

ここで井戸の水を抜き、井戸が今でも使えるのか確認。
井戸は枯れていて、お祓いをして井戸としての使命を終えました。
梁をサポートで支えて柱下の基礎石を外し、地面を深めに掘って鉄筋コンクリートの基礎を作ります。
周囲は高め、中央部分は低い底盤として、中央部分に床下空間を確保しました。

ここで工場のかなり新しい瓦屋根の一部を剥いで、井戸の上の屋根に穴を開けました。
巨大なアルミの筒を持ち込み、屋根を通して井戸に差し込みました。
パイプの周囲は土で埋めて、1年を通じて15度くらいで安定している地熱(地冷)を冷房に活用。
だた通常は2,3本使うことが多く、1本では効果は少なくなるかもしれません。
そこで配管を床下の低い基礎部分に通し、周囲を石で埋めてさらにコンクリートで床をフラットにして蓄冷槽を多量に確保、1本しかないパイプの地熱を最大限に活用するようです。
低く残した基礎の中にあるパイプに送風機を繋いで、地中熱利用システムの完成です。
番組では地中熱換気システムと紹介されましたが、換気機能は無く、冷暖房(特に冷房)の補助効果があるだけのはずです。
ただ冷房効果と省エネルギー効果は大きく期待できる、エコロジーな設備でもあります。
屋根を塞いで(土の代わりにモルタルで瓦を留めるのは仕方の無いところでしょう)、ここは完成です。

屋根裏や外壁裏には発泡断熱材で気密と断熱、地中熱利用とセットで採用しているハウスメーカーや工務店の手法と同じです。
広い空間は、一面を段差の無いフローリングで仕上げます。
システムバスにはつながりがある位置に手摺を設け、トイレは車椅子対応の広さと設備機器をそろえました。
システムキッチンには、娘さんがアメリカで使い慣れたオーブンをビルトインしています。

広いワンルーム空間には、畳の小上がりを設置。
手摺をつけて移動しやすくしていて、手前に食台が設置されました。
その食台には古い糸巻きの部品を並べて、ガラス越しに見えるという演出付き、おじいちゃんの車椅子がはいる部分も付いています。
小上がりと障子で仕切られる隣の部屋がおじいちゃんの部屋、広めの引き戸(吊り戸)でスムーズにつながり、トイレを挟んでおばあちゃんの部屋とも繋がります。

おばあちゃんの部屋は畳の床で、壁にはおばあちゃんの使いやすい高さに手摺を配置。
スロープで畳の小上がりまで通じる通路もあります。
その通路は幅を狭目にして、両手の手摺で安全に移動できる作りです。
小上がりのタタミ床と食台との高さの差は20cm、通常よりかなり低く、背中が曲がったおばあちゃんに一番使いやすい高さに設定して、家族全員が囲めるダイニング空間の完成です。

庭のスペースは地面を掘り起こし、廃材の瓦を砕いて敷き詰め、水はけを良くします。
ここで匠は、息子さんのアメリカでの思い出が詰まったゴールデンゲートブリッジの貼り絵を大きな紙にコピー。
地面の上にコピーした紙を敷いて、レンガを並べて貼り絵の橋を再現していきます。
海や空には色違いの砂利を敷きこみ、庭にサンフランシスコの思い出のゴールデンゲートブリッジの貼り絵が再現されました。


リフォームが完成して、外観は正面の工場だった部分は屋根をガルバリウム鋼板として、壁はサイディングを白く塗装。
腰板に窓枠の木枠とそれを繋ぐ板のラインをいれて、アクセントとしています。
母屋の外壁は黒く塗って仕上げ、屋根はいぶし銀の色で再塗装、落ち着いた和風の雰囲気でまとめました。
玄関の高い敷居は外部をテラコッタタイルのスロープ、内部もテラコッタタイルで床を上げてフラットとしています。

工場だった部分の玄関が、リフォームでメインの玄関となりました。
もちろん母屋と同じようにスロープ付き、さらに手摺と庇も付いて、アルミ製の引き戸の袖壁は木板で仕上げ、ナチュラルな雰囲気を強調。
玄関内には緩やかな手摺付きのカーペット敷きスロープを設置、壁には古い織物を再利用したボードを張って、手摺下地としています。

LDK空間を仕切る引き戸はガラスではなく断熱性能が高いポリカーボネート板でしょうか、袖壁(袖窓)にも同じ素材を使っています。
トラスの小屋組みを見せた広いLDK空間は、大きな窓から陽射しが入る明るい空間となりました。
おじいちゃんが愛用していたソファーやタンスも再利用しています。
アイランド型のキッチンは、コの字型のカウンターで囲んで手元を隠し、カウンター下の収納部分は古い階段そのままに棚板を入れて再利用。
背面には収納を配置して、使いやすさと収納量を確保しています。

キッチン脇の大窓の先にはウッドデッキ、その先には庭の貼り絵が見えます。
その庭には、囲むようにプランターのような家庭菜園や、愛犬の為の水のみ場やタイヤ利用の遊具なども備わります。

LDKと娘さん夫婦の寝室の干渉帯?として、視線の高さくらいあるテレビ台を利用。
玄関からの目隠しにもなる木板を使ったテレビ台には、手摺も付いています。
寝室には押入と机に棚板が備わり、上質なタンスは再利用、引き戸を開けておけばLDKの様子も伺えます。
隣は息子さんの個室、玄関から直接入れる位置で、大きめの引き戸が出入口です。
机は工場の事務机を再利用、高い天井を生かしたロフトスペースもあり、より広く使えます。

食事の際に集まる小上がり部分は、下を収納として活用。
踏み台にもなる引き出しのつくりで、小上がり部分を活用できます。
母屋に繋がる廊下はおじいちゃんの部屋の隣、おじいちゃんの部屋からは、大きな引き戸でLDK・廊下・おばあちゃんの部屋とトイレに繋がります。
ベッドに寝ていても障子を開ければLDKとつながり、家族を見ることが出来ます。
おばあちゃんの部屋には、嫁入りタンスを2つにわけ、使いやすい高さに固定しています。
扉は廊下に出るところに加え、おじいちゃんの部屋、小上がりへ通じるスロープの3つがあります。

廊下の先には水廻り、広い洗面所には洗濯機が二つ、洗面台は車椅子対応の製品です。
浴室は3枚引き戸のバリアフリー対応システムバス、介護用リフトも備わります。
納戸と母屋に通じる扉には、母屋で不要になった扉を再利用。
その納戸は、2階に置きっぱなしだったタンス置場でもあります。

母屋の玄関土間は半分をフローリング床で貼り、畳の間に小さい段差で行き来できるようになりました。
階段もゆっくりしたものに作り直し、2階はほとんどそのままで立派な客間となります。

新しい玄関脇には、娘さんが美術教室を開ける土間の部屋。
庭に面した両引きの大扉も備わり、天井は古い床板の再利用、壁は構造用合板をそのままとして、低コストで仕上げています。
机や椅子も合板製、机や椅子に小物入れが備わる、ローコストながらこだわりの力作です。
壁の1面にはパレット(台座)を固定して、作品や絵の道具を掛けることができる壁面収納としています。
流し周りは業務用、コンロはポータブルタイプでローコストに徹しています。


今回の 劇的!ビフォーアフター 物件258 玄関まで40メートルもある家 は、広い空間を活用したスロープや動線が豊富なバリアフリーリフォームが印象的でした。
減築しても広い工場を活用、玄関だけでなく小上がりにもスロープを付けて、多様な動線を動ける楽しさに繋げていたようです。
バリアフリーのアイデアとしてはスタンダードなものが多かったのですが、車椅子で動ける場所が広く、食卓廻りの家族が集まる工夫も興味深いものでした。
思い出が残る母屋はほとんどそのまま、活用しやすい最小限のリフォームを行っていました。
再利用した材料の多さもポイントで、広く古い建物の思い出がたっぷり詰まったアイデアに感心。
豊富な予算を地中熱利用にも活用、思い出がたっぷり詰まった興味が尽きないリフォームだったといえそうです。

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