物件265 白鳥が見えない家 劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック
劇的!ビフォーアフター 物件265 白鳥が見えない家(新潟県阿賀野市 皆川家) で紹介されている、リフォームの役に立つアイデアをチェックしましょう。
今回の劇的!ビフォーアフター 物件265 白鳥が見えない家 は、タイトルだけ見ると贅沢な悩みにも受け取れてしまいます。
とはいえさすがにビフォーアフターですから、実際にはいろいろな問題を抱えているようです。
築33年の木造2階建ての住まいには、お婆ちゃんと息子さん夫婦と孫娘さん夫婦に曾孫さんと、4世代6人家族が住んでいます。
去年の骨折で杖が手放せなくなったお婆ちゃんは、一日のほとんどを家の中で過ごす状態。
冬には白鳥が集まり、四季を通じて景色が楽しめる瓢湖を目の前に望むことができるせっかくの立地ながら、湖との間の南側に離れを増築したために、お婆ちゃんが暮ら
す母屋からは見えなくなってしまいました。
離れの2階からは瓢湖を見下ろせる絶景ポイント、しかし孫娘さん夫婦の部屋で2階のために、お婆ちゃんが上がるのは難しい状態。
母屋と離れを綱部廊下にトイレがあり、台所や居間がある母屋は北側で、景色が望めないどころか影になり暗くなっています。
冬場は物干し場がなく、洗濯物があちらこちらに干してある状態。
雪の重みで屋根がたわみ、鴨居を支える棒で支えてある危険な状態です。
お婆ちゃんの部屋は北側で、窓には隙間を塞ぐテープを張ったり、ガラスには緩衝材(プチプチ)を張って寒さ対策。
トイレからも遠く、風通しが悪く湿気のためかぶかぶかになった床など、問題点もあちこちにみられます。
リフォームの予算は2700万円、広さからすれば、丈夫な構造が必要な新潟でも何とか新築可能なくらいの微妙さ。
そこで離れの部分を1・2階とも開放的で普段生活の空間にする、全体的な配置換えのアイデアや手法に注目のリフォームとなりそうです。
引っ越しが済んで、比較的新しい離れはできるだけ残す予定のようで、古い母屋を先に解体。
使える建具などは再利用のために保存して、解体が進みます。
母屋が済むと、離れの2階内部も解体します。
そして母屋に面する北側の壁も一部を撤去、1m50cmほどの奥行きで増築しています。
2層分の吹抜けを作り、そこに住宅用のエレベーターを設置しました。
ホームエレベーターでお婆ちゃんも上がれることで、景色のいい離れの2階をLDK空間とするようです。
窓を広げ、部屋と段差の無いスノコ床のバルコニーも作って、瓢湖の景色を最大限に楽しめる造りとしています。
手を加える部分を減らして設置費用を捻出した、リフォームならではのホームエレベーター設置法といえるでしょう。
ここで匠は、地元の瓦の産地を訪れています。
凍害に耐える耐久性の高い瓦で、雪の滑り止め効果もあるようです。
オブジェや塀など様々な場所で、独自に作られたオリジナル瓦が使われています。
母屋は雨漏りしていた既存の屋根を撤去、下地も新しくして防水シートを追加、離れの屋根と同じ地元の安田瓦を葺きます。
ただ鬼瓦だけは既存を再利用、耐久性が高いので洗っただけで綺麗に再利用できたようです。
離れの外壁は断熱塗料で化粧直し、より断熱効果を高めることで化粧直し以上の効果を期待しています。
最近は断熱塗料の価格と普通の塗料の価格の差が小さくなっているので、リフォームに使う塗料としては効果的でしょう。
同じ断熱塗料を細長く天井が高い部屋の内部塗装にも採用、高い天井近くにエアコンを設置、天井には昇降式の物干しバーや湿度センサー付きの換気扇も設置していま
す。
母屋の台所だった場所の一部を区切り、壁には棚と物干し受けを設置してエアコンの熱を逃がさない乾燥室としました。
隣の部屋には洗濯機があり、洗った物をすぐに干せる配置です。
ここで匠は畳屋さんに出かけ、丸い穴を空けた3枚の木の板に畳を張ってもらっています。
玄関や廊下には手すりを設置、廊下の先がおばあちゃんの新しい部屋。
その床の下地に穴を3つ空け、金物を設置しました。
3つの穴の部分に欠き込みのある畳を敷いて、残った3箇所に3つの畳を張った板をはめ込みます。
3本の丸い木の棒を差し込んで、部屋の中にも手摺を設置。
部屋の中まで手摺が連続することで、お婆ちゃんの杖が不要な空間としました。
一見邪魔にも見えますが、室内の動きを考えるとナイスアイデア、さらに手摺が邪魔になったら外すことも容易です。
リフォームが完成して、離れにはバルコニーが付き窓も大型化。
外壁の色も明るくなり、母屋の外壁も同じ色となりました。
出窓をなくして、玄関までのアプローチに手摺を追加。
全てがスロープではありませんが、歩きやすくなっています。
庭をすっきりさせたことで駐車スペースを1台分増やし、玄関前に車を止めることも可能となるとともに、母屋からの見通しも改善されたようです。
道路側の塀は瓦で化粧、モダン和風の印象でまとめています。
表札は瓦に苗字を彫り込んだもので、文字は書道5段の娘さんが書いたようです。
玄関は木製の引き戸、上り框の段差は最小限として、広いスペースにベンチも追加。
靴箱は再利用で、コーナー部分にベビーカー置場を設けています。
離れの1階は娘さん夫婦の寝室。
床を無垢の杉板に張り替え、窓の高さを高く大きくしたことで、止めた車に邪魔されずに瓢湖の景色を眺めることができます。
さらに窓の前には3畳ほどの机カウンター付き小上がりを設け、書斎兼景色を楽しむ空間としています。
玄関と母屋につながる通路は引き戸で仕切って寒さ対策、すぐ左手にはエレベーターがあり、両側の手摺を伝って進むと、母屋のファミリールームに出ます。
お婆ちゃんの部屋の隣にあるファミリールームは裏庭に面して、明るさや通風を確保しています。
もともと高い天井を取り払ってロフトを追加、ロフトの柱や手摺には床柱や欄間を再利用、壁の厚みを利用した飾り棚や掛け軸掛けも備わります。
裏庭は生垣で囲まれ、瓦を使ったベンチや通路や白鳥のオブジェなどを配置。
他は主に砂利敷きで枯山水風の、落ち着いた和風の裏庭となりました。
お婆ちゃんの部屋は琉球畳敷き、縁がないので少し滑りやすいですが、つまづきにくくなる効果もあります。
裏庭に面してペアガラスの窓が付き、さらに内障子付。
通路の途中にトイレを配置、反対側には洗面所と浴室を配置して、お婆ちゃんの部屋から短距離で使える水廻りとしています。
トイレ空間は広めで、大きなボウルの洗面台に収納棚と洗濯機置き場を確保、脱衣スペースも広めにとっています。
システムバスは3枚引き戸の段差なし、手摺付きのバリアフリー対応タイプです。
洗面所隣の乾燥室には、洗面所から入れる扉も設置。
屋外に出られる勝手口が備わり、収納棚には収納式のアイロン台も組み込まれています。
ファミリールームの隣は、長いカウンター机が備わる多目的室。
机の前にはコルクボードや棚が備わり、コの字型のロフトも付いて、将来は子供部屋になる予定です。
そのロフトは、隣のファミリールームのロフトとも扉でつながります。
この広いロフト部分で、母屋の構造も補強しているとのことで、小屋上をしっかり固めているようです。
多目的室には3畳ほどのウォークインクローゼットも備わり、ここから乾燥室前の廊下に出ることもできます。
多目的室の隣はトイレにもつくりかえることができる納戸があり、その隣が両親の寝室です。
壁一面のクローゼットの扉は離れで使っていた建具を再利用、大きな窓の先には裏庭があり、その先のお婆ちゃんの部屋も伺えます。
離れの2階が目玉のLDK空間、対面式キッチンは手元が隠れる高めの腰壁で仕切られます。
背面には冷蔵庫置き場とカウンター収納、吊戸棚は背面のみに設置して、ダイニングとのつながりを重視しています。
キッチン隣には食品庫も確保、奥のトイレを含めて使い勝手を高めていますが、キッチン脇のトイレは若干気になるかもしれません。
ホームエレベーターの出入口はそのトイレの正面なので、配置としては順当なところでしょう。
6人掛けのテーブルが置かれるダイニングスペースには壁一面に食器棚が置かれ、その奥が瓢湖に面するリビングスペースです。
今回の 劇的!ビフォーアフター 物件265 白鳥が見えない家(新潟県阿賀野市 皆川家) は、景色を最大限に楽しめるホームエレベーターの追加が印象的。
比較的新しい離れ部分は、窓や間仕切り壁の変更はあったものの、ホームエレベーターの設置によって必要最小限のリフォームにとどめて、トータルのリフォームコスト
を減らして(建て替えではなくリフォームで可能として)いたようです。
住まいの中でお婆ちゃんの動ける範囲を増やす効果もあり、住まい全体を使いこなすことにもつながりそうです。
広めの空間を生かして余裕のある水廻りや乾燥室を確保、さらに母屋のファミリールームなど、家族みんなで使える空間が複数作ったところもポイント。
4世代が一緒でも別々でも多様に活用できそうで、派手さはないものの使いやすい棚や収納も豊富に盛り込んでいました。
瓢湖が望めるという特殊な条件ではありましたが、ホームエレベーターを盛り込み家族の活動範囲を広げるリフォームの好例として参考にできる内容だったといえ
そうです。