物件266 誰にも貸せないアパート 劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック
劇的!ビフォーアフター 物件266 誰にも貸せないアパート(東京都葛飾区 柴田家) で紹介されている、リフォームの役に立つアイデアをチェックしましょう。
今回の劇的!ビフォーアフター 物件266 誰にも貸せないアパート は、3人家族が住むアパート併用住宅のリフォームとなります。
築48年の2階のアパート4室はすべて空室、和式トイレで風呂なし、和室二間の古い作りのまま。
さらに錆だらけの傷んだベランダなど、危険なために貸せない状態でもあります。
道路に近く段差のある住宅の玄関、急なアパートの外階段や踏むと沈み込む畳床。
住居の1階は奥にアパートが2つあり、物置として使っていますが、出し入れは外に出てから行うので大変。
狭い水廻りや東日本大震災の地震でひびが入りお風呂の水が外に漏れてしまうタイル壁床など、古さと老朽化が相当目立つ状態です。
リフォームの予算は3000万円、広さを考えると必要とされる金額はなんとか確保されているようです。
そこで傷んだ部分や弱い部分を補修しつつ、1階の使いやすさと2階の部屋割りの変更を含めた、トータルでバランスのいいのリフォーム内容に注目となりそうです。
今回担当の匠は大学教授、そこで生徒たちにも意見を聞きつつ、プランを進めるようです。
大学で教える建築家が良く利用するパターンで、アイデアの幅が広がります。
2階の使えるエアコンなども含めた引っ越しが済んで、再利用する流しを外して解体がスタート。
危険な外廊下やベランダを撤去して、内部もほとんどを解体しました。
ここで匠は構造を確認、2階床下の梁が部屋毎に切れていたりして、危険な状態が目立ちます。
この状態で建物の揺れ方を測定、構造補強の参考とするようです。
2階の床梁はすべてを丈夫な物に交換、柱にはカナダつがを採用。
外と内の両側からOSBボードで挟み、2階のアパート部分の重さにも耐える丈夫な構造としました。
さらに2階のアパートの各部屋を仕切るOSBボードの上に石膏ボードを重ね貼り、遮音と防火を兼ねた界壁としました。
アパートの界壁としては、OSBボード無しで、柱の間にグラスウールを充填した上での石膏ボードの2重貼りはよく使われる方法です。
今回はさらにアルミシートを貼った上に硬質石膏ボード貼り、防音と気密性能をさらに高めました。
2階床には厚み24ミリの構造用合板の上に硬質石膏ボード貼り、クッションフロアーで仕上げます。
木造アパートとしては合板の厚さは倍くらいあるのですが、それ以外は普通レベルの遮音性能でしょう。
2階アパートには3つのユニットバスを設置、アパートは3室と1部屋減らして、その分水廻りの充実したワンルームアパートとしています
さらに切妻屋根の天井裏も、天井高さを上げたりロフトとして活用。
女性用アパートとして、充実した空間を確保しているようです。
ここでご主人が匠と一緒に、古着をリサイクル工場に持ち込みます。
古着を生地に再生、フェルトの吸音材に加工しました。
細長い箱の内側に遮音シートを貼り、その内側にそのフェルトを貼り込み、排水管を囲んで遮音ダクトとしました。
夜遅く2階のアパートで入浴やトイレや洗濯などで水を使っても、排水音が気にならない作りとしました。
防音性能としては優れているようで、加えて2階の足音などが気にならないように、1階の天井裏にも吸音材を入れています。
新しい外壁材は、裏に断熱材が入ったガルバリウム鋼板を採用。
アパートの入り口やベランダとなる両サイドはシルバーのリブ付、道路側は町並みになじむクリーム色の左官風仕上げのタイプを選んでいます。
外階段や外廊下は、亜鉛メッキされた鉄骨で作り直し。
登り口は1階玄関の隣として、ゆっくりL字型で登ることができます。
アパートの流しは分解して磨き、再利用。
加工したステンレス板などと組み合わせた、調理台兼水切り兼引き出しを間に入れています。
正面をカバーするステンレスの立ち上がりにはフックを付けてワイヤーなどをかけて使える、アパートながら使いやすいキッチンとしました。
リフォームが完成して、屋根は黒いステンレス鋼板に葺き替え、妻壁や窓や玄関ドア位置に合わせた壁の一部にも同じステンレス鋼板を貼ってアクセント。
外階段の前にはスロープを付けて、階段下を自転車置き場としています。
2重ロックのアパートの扉はシルバーで小さい丸窓付、インターホン上のルームナンバーは動物風の型をしたデザインタイプ。
匠が務める大学の、美術科の学生のよる作品です。
玄関正面の壁は部屋毎にカラーを設定、201はミントブルーです。
張りを見せた高い天井の一部はロフト、クローゼットの扉内側にはスライド式の姿鏡を設置して、女性用アパートらしい使い勝手の良さを加えています。
ロフトに上がる梯子もクロゼットに収納でき、靴箱は部屋の中に配置して手入れをしやすくしているようです。
洗面所は、コンパクトで丸い洗面器に洗濯機置き場付きでトイレ兼用。
天井から下がる物干し付きで、ユニットバスにも小窓が付きます。
中央の202は少し広めで、ポイントカラーは2つの窓がある壁のパステルグリーン。
部屋が奥まっているためか、靴箱は廊下に置かれています。
ベランダは奥行きが薄くグレーチングの床、布団干しが主な用途のようで、1階の採光と柱が無いことで駐車スペースの確保を優先したようです。
1階玄関の前はコンクリートの壁で目隠し、古い外壁を再利用した犬小屋もここに置かれています。
玄関の扉はシルバーの引き戸、上部にはガラスの庇もつきます。
広めの玄関脇に1畳ほどの収納スペースも備わり、ベビーカーやペット道具などを収納できます。
玄関上がった正面が天井までの靴入れ、右手の長い廊下で奥まで続きます。
廊下のはじめ右手が寝室、広めで掃き出し窓も2つ備わります。
キャスター付きのクローゼットが2つ備わり、移動して部屋を2つに仕切ることもでき、この場合は現在の子供室と寝室が入れ替わる形になるようです。
その対面がトイレと洗面所、間に小物入れを挟んで掃除用具などを収納できます。
洗面所の引き戸は古い扉を再利用、鏡台を再利用した洗面カウンターと鏡に、据え置き型の洗面器を組み合わせ。
洗濯機置き場に洗濯流しも備わる広めの洗面脱衣所、浴室は広めのシステムバスとなります。
LDK空間は、中央に柱を残しているものの22畳の広さを確保。
対面式のキッチンに畳の間も備わる、余裕のある空間です。
対面式キッチンは高めの腰壁で手元を目隠し、その腰壁は食事が可能なカウンター付きです。
キッチンはアパート同様に再利用、作業台や背面に収納カウンターを追加して使いやすさや収納量を高めています。
キッチン正面が子供部屋、広く開く開口があるので、LDKとつないで使えます。
ゆったりしたソファーが備わるリビングは、テレビ台の両脇に収納付。
隣の畳の間には仏壇と堀ゴタツ付、障子と襖で仕切って客間としても使えます。
リビングの外には、床高さを合わせた広いウッドデッキが備わります。
人工芝を貼った庭は、扉付きの木製の塀で駐車場と仕切られ、駐車場から直接入ることもできます。
今回の 劇的!ビフォーアフター 物件266 誰にも貸せないアパート(東京都葛飾区 柴田家) は、アパート部分の大胆なリフォームが印象的でした。
部屋を一つ減らすことで水廻りの空間を確保、さらに小屋裏を天井高さに取り込んで、ロフトまで追加していました。
外階段も使いやすく緩いL字型に変更、ベランダを最小限とすることで、1階の環境も改善。
1階の住居部分はスタンダードな手法で使いやすさを改善、最新の水廻りやオープンで変化することができる部屋の作りで、快適さも高めていました。
アパート併用という少し特殊な条件ですが、アパートと住居それぞれで参考にできる部分が豊富な、良質リフォームだったといえそうです。