物件267 安心して子供を預かれない家 劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック
劇的!ビフォーアフター 物件267 安心して子供を預かれない家(東京都板橋区 森家) で紹介されている、リフォームの役に立つアイデアをチェックしましょう。
今回の劇的!ビフォーアフター 物件267 安心して子供を預かれない家 は、依頼主が家庭福祉員(保育ママ)として子供を預かるために使っている実家のリフォー
ムとなります。
その実家のお婆ちゃんは、築80年の平屋で36坪の建物に一人暮らし、そのお婆ちゃんも同じ保育ママだったので、娘さんと協力して小さな子供のお世話をしているよ
うです。
しかしさすがに古く、危険な部分は工夫しているものの段差が多く、お世話の間も心配事が増えてしまいます。
敷地は旗竿地で奥まっていて、コンクリート床の味気ないアプローチ、ポーチ周りは飛び石でベビーカーが通りにくく雨の日用に庭のパラソルを開いて雨除けとしていま
す。
平屋の住まいとしては屋根が高く、さらに和風の屋根に洋風の屋根が乗っています。
玄関脇にお弁当保存用の冷蔵庫、基準では保育室の中に電子レンジと共に置くのが基本のようです。
8帖に4帖の部屋がつながる広い保育室は、扉に指を挟まないように動かない工夫付き。
しかし段差が大きく危険な窓は閉め切って、庭も石などが危険で活用できません。
廊下の床鳴りが気になり、大きな建具の開閉音も午睡している幼児には気になるところ。
住居部分の洗濯機は屋外で、段差にタイヤを敷いてステップにしています。
リフォームの予算は2100万円と、 庭作りも含めて必要とされる予算は確保しているようです。
そこで安全で快適な保育室作りのアイデアを中心に、住居部分の使いやすいリフォームにも注目となりそうです。
保育室作りのアイデアは、普通の住宅でも安全で快適な子供の空間造りにも活用できるでしょう。
旗竿地で少し大変な引っ越しが済んで、解体がスタート。
構造が露わになると、屋根の高さがより印象的となります。
全体的にはなかなかしっかりした作りで、傷みもさほど見られません。
ただ増築した部分で柱をカットしたりしていて、洋風屋根の増築部分には問題があります。
また北側の増築した水回り部分も無理をした作りで、柱が細かったり、梁が外れてしまった部分が見られます。
南と北の安易な増築のために、せっかく古くしっかりした作りの本体部分が弱くなってしまっているのです。
そこで北側の増築部分を解体、南側も基礎を新しく作り、新しく柱を取り付け、梁を繋ぐように長い木板を屋根勾配に合わせて斜めに取りつけて登り梁を作り補強。
間の柱を抜いて、広い無柱空間を作り出しました(トラス的な働きで長いスパンを飛ばしているのでしょう)。
長い板の外側を構造用合板で補強して、南側サッシの内側に新たな壁を作ります。
南側も少し内側にずらし減築することで、補強しつつ柱の少ない空間を生み出しました。
状態の良い屋根の瓦を一部外し、大き目のトップライトを作ります。
洋屋根の部分も含めて比較的新しく状態がいいので、そのまま使うようです。
家の中央部は土間のまま床が張られず、途中の位置に大きな窓を取り付けています。
梁を見せて天井を高くして、トップライトからの光で屋外のような土間空間と全開サッシ窓で仕切られる土間中庭の空間が生まれました。
中庭の上の壁には、古い欄間を再利用してアクセントとしています。
玄関隣が保育室、広めの12帖空間が生まれています。
横が中庭と土間空間で、ここまでが保育室としての機能を果たします。
こちらも洋風屋根の勾配に合わせて天井が高く、一部にロフト付となります。
玄関正面の廊下を進むと、生活空間。
こちらも天井が高いLDKで、登り梁のおかげで柱が無く梁も目立たない、すっきりした空間となっています。
対面式キッチンでガスコンロ前に袖壁が立ち上がるも、シンク上には吊戸棚なく開放的につながります。
隣家が近いキッチン正面の壁には地窓と高窓のみ、明るさは土間と中庭から取り入れるプランで、保育室ともつながります。
ここでステンレスの小さなフレームをたくさん持ち込み、中央の土間上に固定・溶接していきます。
さらにサッシの外の土間中庭部分にも繋がるようにフレームを固定、その上をカラフルなゴムチップで舗装、柔らかい床仕上げで線路を描き出しました。
なんとステンレスフレームは線路を描く型枠替わり、埋めても錆びにくいとはいえ、贅沢な使い方です。
保育室のロフト下にはミニキッチンや収納を配置、保育室に必要な機能をしっかり備えます。
中庭側の大窓には柵となる格子を設置、壁の角にはコーナークッションを貼って安全性を向上。
コンセントも高い位置につけてシャッター付、安全仕様としています。
床に置くジョイントマットにはコルク仕上げの製品を採用、滑りにくさや吸音性などいろいろな点で優れています。
ここで木で組んだパーツを持ち込み、ロフトに上がる階段を作りました。
収納を兼ねた作りで、靴下収納は面白いアイデアですが扉の通気孔は少なすぎるようです。
下段は引き出し式とすることで、不用意に幼児が上がることを防いでいます。
回して取り外せる扉のノブが階段を引き出すノブとなり、さらに段の固定金具にもなるアイデアは面白いところです。
リフォームが完成して、外壁は玄関周りの白に他の黒い壁を組み合わせた、モダンな印象に変身。
アプローチからポーチまでなめらかな床でつなぎ、ベビーカーでもアプローチしやすくなりました。
ポーチ横には、ぺビーカー置き場やレインコートハンガーなどが備わります。
玄関引き戸はそのまま、段差を少なくしてスムーズに出入りが可能です。
ベンチを兼ねる玄関収納は、ハンガーパイプ付きで大容量を確保。
防災バッグや消火器も収まります。
玄関壁には保育室が覗けるガラスブロックが入り、手摺も備わります。
土間空間は、入り口を扉付きフェンスでカバー。
先の土間中庭から庭にも出やすくなり、庭は芝生と花壇で整備されて滑り台やブランコが置かれました。
住居側の庭は飛び石や和風庭園で整備、コンパクトな濡れ縁で室内とつながります。
保育室と土間部分を仕切る扉(おそらく指詰め防止仕様の扉でしょう)は、下半分を格子で保護。
また保育室の腰壁はクッションシートで保護、けが防止と汚れ防止を兼ねています。
ミニキッチンには冷蔵庫スペースも備わり、腰高の引き戸で区切ります。
玄関隣に水廻りを集中、住居に続く廊下前の扉を含め指詰め防止の引き戸で静かに開閉できます。
幼児と共用となるトイレは、普通の便器に幼児用のシートで対応。
洗濯機が入る洗面所は、カウンターの上に据え置き型の洗面器を置くタイプ。
上部に吊戸棚が備わり、下部の収納には幼児用のステップも備わります。
浴室は、広めの手摺付きユニットバスです。
廊下には天窓からの明かりが降り注ぎ、壁の上部には古い欄間を組み込んでいます。
その廊下の突当りがお婆ちゃんの寝室、大きなクローゼットと扉の外に専用の目隠し木壁付き物干しウッドデッキが備わります。
LDKの天井にもトップライト付き、地窓と高窓の間の壁にはテレビ台と収納が収まりました。
ダイニングテーブルには古い枠やガラスを再利用、思い出を個性的にまとめています。
キッチン周りの腰壁や袖壁には古い床板を再利用、戦前の古い住宅には再利用の価値がある良い材料が使われていることも多いのです。
対面式キッチンの背面に収納カウンターと冷蔵庫が収まり、上部に古い欄間が見えます。
リビングの奥が3枚引きのふすまで仕切られる4畳半の客間、再利用の掘りごたつ付きで普段はリビングの延長にもなります。
掘りごたつは外して押入れ下に収納、天板は裏返すと畳になるアイデアを追加しています。
今回の 劇的!ビフォーアフター 物件267 安心して子供を預かれない家(東京都板橋区 森家) は、保育室作りの豊富なアイデアが印象的でした。
玄関ベンチや床材や腰壁から便利収納やロフトの階段などなど、機能や安全性を備えつつ、使いやすさや楽しさを加えていました。
玄関近くに配したことで、保育室周りの移動しやすさも実現、水廻りは住居と共用として、余計なコストや面積を減らしています。
住居部分は古い材料の再利用が印象的、LDKのワンルームが基本の現代的なプランを採用。
お婆ちゃんの部屋とトイレは若干遠いものの、バリアフリー的な動きやすさは配慮されていました。
豊富な保育室のアイデアは、小さい子供のための住まいづくりにも参考にできる、内容豊富なリフォームだったといえそうです。