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物件238 お風呂が後回しになった家

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お風呂が後回しになった家


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住まいのリフォーム・リノベーション
では、
住まいのいろいろな改修方法や
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エコロジーや節約ポイントを紹介。

計画や工事のチェックポイントや
リフォームが必要な時期など、
住まいのリフォーム・リノベーション情報が満載です。

 

物件238 お風呂が後回しになった家  劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック

劇的!ビフォーアフター 物件237 老後の楽しみが奪われる家 で紹介されている、リフォームの役に立つアイデアをチェックしましょう。

今回の劇的!ビフォーアフター 物件238 お風呂が後回しになった家 は、お母さんが一人で住む住宅のリフォームです。
築100年の建物は、商店を営業していた正面の母屋に建て増しが続いた建物です。
その使っていない店舗スペースには、亡きお父さんが趣味で作った作品やリフォームの準備として集めた建築資材が並んでいます。

建て付けが悪かったり、リフォーム途中で寒さの原因となっている部分や危険な部分があったりして、古さが目立つ状態です。
懐かしいデザインの木製建具も、良質な作りながら隙間だらけです。
寒い中庭を通って入る浴室の壁は錆だらけ、床も腐って寒い上に不衛生で危険でもあります。
古い水廻りや離れの浴室など古民家ゆえの使いにくさに加えて、半端に手を加えた部分や無駄がたくさんある住まいなのです。

予算は2800万円と、小ぶりな住まいにすれば新築も十分可能なほど豊富です。
そこで不要な部分を整理しつつ、亡きお父さんの思いをどこまで取り込むのか、
さらに快適な住まいとしていかに再生させるのか、興味深いところです。

引越しが済んでから、亡きお父さんが集めた建材の中から使えそうなものを保管場所に集めましたが、すごい量です。
全ては使えないので、使いやすく良いものを選んで使用するようです。

解体が進むと、母屋の部分はかなりしっかりしていて、安心感すら感じられるほどです。
ただ2階建てとしては、筋かいなどの耐力壁が不足しているようです。
そして増築した倉庫だった部分は木の土台が腐り、柱が落ちて壁がずれて危険な状態。
貫が抜けてしまっているほどで、よくも倒壊しなかったものです。

そこで重い屋根瓦を外し壁も壊して軽くして、お父さんが残した鋼管(鉄パイプ)などを使って仮の補強を行います。
新たに土台を追加、2枚の板で柱を挟みこみ、ジャッキアップ。
そして鉄筋コンクリートの基礎を作り、新たな基礎の上に土台を降ろしました。

さらに骨組みも補強、床下に断熱材を入れて、傷んだ倉庫部分も再生して活用します。
屋根裏には熱を反射させる機能も備えた通気材を設置、棟の換気口から夏の暑さを逃がします。
壁には現場発泡の断熱材を使用、高い断熱性能を備える空間としました。
足元には床暖房も追加して、さらに快適さを高めます。

ここでゲリラ豪雨が発生、現場の前の道路が冠水して、中庭や基礎の内側にも水が溜まってしまいました。
そこで大工さんたちが緊急排水、なんとか事なきを得ました。
水が入ってしまう隙間をコンクリートで塞ぎ、工事が再開です。

大きなアルミサッシが再生された倉庫部分に入り、中庭に大開口が作られます。
その大窓に向かう形で、システムキッチンが設置されました。
築100年の母屋と倉庫と作業場の3つの建物が、中でつながり一体化しました。
庭に向かって一番条件の良い倉庫部分を主要な生活空間として、既存の換気棟を風の流れを作る部分としても再利用です。

風呂場は母屋の1階に設置、手摺付きの大きな浴槽に床と壁はタイル仕上げ。
床のタイルには、冷たさを感じにくい断熱タイルを採用です。

中庭の土を手押し車で掘り出し、幅と深さが1メートル・長さが5メートルほどの穴を作りました。
その中に四角い蜂の巣のような穴が開いたものを入れて、布で包みました。
浸透トレンチと呼ばれる、中庭に降る雨水を染みこませる部分を作って、ゲリラ豪雨に対応です。
さらに樋に集まる雨水を地中に染みこませる浸透マスを7箇所設置することで、より効果を高めます。

トイレだった部分にも鉄筋コンクリートの基礎を作り、土壁に丸く穴を開けます。
土壁も塗りなおし、竹格子が見える丸窓ができました。
半屋外となるその東屋には、ベンチを設置しています。

ここでお父さんの残した黒竹を加工して作ったパーツを持ち込み、ベンチの壁の装飾やベンチの背もたれとしました。
ここで古い瓦やお父さんが作った円柱のコンクリートを庭に並べて、東屋前の踏み石としました。
ベンチの板材や天井の丸桟などにもお父さんが残した材料を利用した、思い出が詰まった空間となりました。

リフォームが完成して、比較的新しい瓦屋根の母屋はそのまま、増築部分の屋根は金属板で葺き替えて一体感を出しました。
母屋のシャッターは杉板を使った引き戸で置き換え、格子の追加や白と黒を組み合わせた壁の色として、モダン和風にまとめています。
母屋の1階部分は2台分の駐車場となり、玄関に通じる扉も付きました。

玄関まで通じる路地はコンクリートの洗い出し仕上げ、塀は木板で目隠ししています。
玄関ポーチの階段は手摺付き、玄関の中に入る部分では玄関床と廊下の段差を無くしています。
その玄関には壁一面の収納付き、床の一部にはお父さんが作った木製タイルも再利用して使われています。

室内の部屋の扉は全て、以前あった建具を修理して再利用しています。
中庭には和風庭園と東屋が出来、物置も再利用して活用です。

中庭に面する倉庫だった部分はLDKに変更、小屋組みを見せて天井を高くして開放感を高めています。
中庭に面するキッチンの向かいには、食事が可能な広いカウンターが備わります。
油跳ねを防ぐ収納式の扉も備わり、開放感と使い勝手を両立しています。
背面には一面のキッチン収納、障子を扉として再利用です。

ダイニングスペースには飾り棚が付き、お父さん思い出の品が飾られます。
ダイニングテーブルにはお父さんが手彫りで作った力作の扉を再利用、家具までお父さんの思い出一杯です。

作業場だった部分は、障子で仕切られる畳の空間になりました。
客間としても使える、天井の高さを生かした、開放的な部屋です。

キッチンの隣が水廻り、トイレにはお父さんが作ったトイレットペーパーホルダーが備わり、洗面所には洗濯機置き場も備わります。
掃き出し窓から出られる物干しや布団干しができるサービスバルコニー付きで、まとまりのある集約された水廻りとなりました。
広い浴室からは、サービスバルコニーの端に植えられたモミジも眺められます。

水廻りから廊下を挟んで反対側が寝室、ペアガラスの窓で断熱性能を高めています。
お父さん手作りのベッドが置かれ、雪見障子から中庭も見れます。
壁一面にはクローゼットが付いて、収納量もたっぷり確保しています。
2階に続く階段を仕切る建具もそのまま修理して再利用、その先には専用のトイレも備わりました。

階段はゆっくりに架け替えられ、2階は息子さんが帰省した時の部屋となります。
梁を見せることで天井の低さを解消、2間に間仕切れる扉付きで、板間の書斎と畳の寝室の2部屋にも分けられます。
書斎の掘り座卓の天板にはお父さんの自慢だった式台を再利用、造り付けの棚もお父さんが残した材料を使っています。
2階は座っての生活を基本とすることで、天井の低さを感じにくくなっています。
かつての暗室は、ウォークインクローゼットとなり、収納スペースも確保しました。

今回の 劇的!ビフォーアフター 物件238 お風呂が後回しになった家 は、お父さんの思い出の品のフル活用が印象的でした。
母屋の1階を駐車場として、中庭に面する部分を生活の中心とするリフォームは、発想の転換の大切さが感じられるところ。
お母さんの一人暮らしとしては広過ぎる印象もありましたが、駐車場や息子さんのスペースを確保することで広さを全て残したリフォームとなりました。

思い出と空間をたくさん残しつつ、部屋の配置を理想的にした手腕は見事。
参考とするには難しい部分もありそうですが、思い出と良い物を残すリフォームとして、理想的な一例だったといえそうです。

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