物件239 行く手が険しい家 劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック
劇的!ビフォーアフター 物件239 行く手が険しい家 で紹介されている、リフォームの役に立つアイデアをチェックしましょう。
今回の劇的!ビフォーアフター 物件239 行く手が険しい家 は、一人暮らしとなったおばあちゃんとお孫さん家族が一緒に暮らすためのリフォームです。
築88年の古民家は中央にある土間が家を分断、40cm程の大きな段差がおばあちゃんの動きを邪魔している状態です。
畳に沈み込みや段差があり、床下が傷んでいることが予想されます。
トイレ廻りはバリアフリー対策が行われているのですが衣類を置くクローゼットを兼ねていたり、ドアが3つもある浴室や段差のある洗濯室などが気になります。
さらに急な隠し階段や天井が低い2階など、古い住まいらしい使いにくさも満載です。
予算は1800万円とそこそこありますが、全体に手を加えることになるのでちょっと微妙かもしれません。
そこで古民家の構造体を生かした、伝統の骨組みを魅せるリフォームに期待しましょう。
残す部分を慎重に確認して、いよいよ解体開始です。
やはり骨組みはしっかりしていて、大きな丸太の足固めなど安心感が感じられる見事なつくりです。
しかし北側の土台回りから柱までシロアリの被害が見られ、さらに大きな梁までシロアリの被害が進んでいて危険な状態です。
湿気が乾きにくい北面からシロアリが入り、広がっていったようです。
そこで重いセメント瓦を撤去して、鉄骨が運び込まれます。
柱と鉄骨を固定して、鉄骨を持ち上げることで構造全体を持ち上げました。
そして腐った土台や外回りの不要な敷石を撤去、ここでシロアリを防ぐ防蟻剤を地面や地面近くの構造材に吹き付けます。
防湿シートを敷いて、鉄筋コンクリートでべた基礎を作りました。
土台を入れて傷んだ柱梁部分も交換、そして構造体を降ろして骨組みの補強が完了です。
窓部分は断熱性能を高めるためにペアガラスの窓に交換、天井板は傷んだ部分だけ取り除いて再利用です。
壁は真壁で仕上げ、柱を魅せます。
床は無垢の杉板、傷つきやすいという弱点はありますが、歩いた時の柔らかさが特徴です。
外壁や屋根を銀色の遮熱シートで覆い、輻射熱を遮り結露を軽減します。
断熱材もしっかり入れて、高いレベルの断熱性能を確保しました。
屋根には遮熱シートと野地板の間に通気層を作り、断熱性と耐久性も高めます。
南面の屋根には金属板のパーツを並べて、その上からガルバリウム鋼板の屋根で仕上げます。
屋根に当たる陽射しから熱を得て、棟の部分に集めて暖房に利用する、OMソーラーの考え方を取り入れるようです。
熱を床下や蓄熱体に蓄えることで、暖房効果を得ます。
ここでは棟の採熱ボックス部分から床下までダクトでつなぎ、床下コンクリートを蓄熱に使います。
夏の時期には積極的に排熱させることで、屋根の熱さを軽減する効果もあります。
ここで母屋の東側にあった屋根を掛けただけの離れの納屋を解体、キッチン脇の壁に穴を開けて、東側からの採光や通風を確保しました。
地元で生産される しっとうい という細長く丈夫な植物を入手、麻糸と織り込んで、しっとういの畳表を作りました。
い草よりも丈夫で、滑りにくいという特徴があるようです。
おばあちゃんの部屋のタタミに、琉球畳の形で採用です。
古い土台の敷き石を切断して、玄関ポーチ前の階段に再利用です。
さらにスロープも作り、バリアフリーなアプローチとしました。
乾燥した海藻を煮てザルでこし、煮汁と貝灰を混ぜて漆喰を作ります。
海藻の煮汁が接着剤の役割を果たし、麻スサを追加して強度を高めて使用しました。
九州では昔から使われていた、伝統的な漆喰です。
リフォームが完成して、外観の形はそのまま、漆喰仕上げが新しくなりました。
妻壁にはガルバリウム鋼板?を使用して、アクセントとしています。
玄関ポーチの階段やスロープには手摺を設置、引き戸の玄関は段差無しで室内につながります。
玄関に入ると、正面には床の間、曲線にくりぬかれた壁や背面の網代など、和のしつらいが印象的です。
隣には目隠し壁で軽く仕切られるオープンな玄関収納があり、こちらが家族用玄関となります。
玄関の段差部分には収納式の腰掛け付き、手摺もしっかり付いていて、おばあちゃんの動作を助けます。
玄関から続く廊下を進んだ先が広いLDK、かつての仏間部分の天井を取り払い、吹き抜けがある開放的な空間としています。
おばあちゃんの部屋とは襖で仕切られ、一体空間としても使えます。
対面式のキッチンはIHヒーター付き、天板が広いタイプでカウンターを兼ねます。
背面にはカウンター収納が備わり、その脇にはコンパクトな家事コーナーも付きます。
リビングの大きな窓には、引き込み式の障子が備わり、眩しさや強い日差しを軽減します。
隣のおばあちゃんお部屋は、天井や梁などは昔のまま再利用して思い出を残しています。
板張りの縁側もあり、椅子に座って景色が眺められる快適空間です。
その縁側には、収納式の机も備わります。
おばあちゃんの部屋に仏壇を入れて、亡きおじいさんといつも一緒にいられます。
仏壇の下には収納式で収納付きの椅子も備わり、使い勝手を高めています。
タタミの部屋にタタミベッドが備わり、分割できて2つの椅子としても使えます。
廊下を挟んで、おばあちゃんの部屋の向かい側が水廻り。
介助も出来る広いトイレにはしっかり手摺が付き、洗面所から浴室までにも手摺がつながります。
浴室には大きな窓と浴室暖房が備わり、洗濯物が干せます。
洗面所にはキッチンにつながるドアも付き、使い勝手を高めています。
キッチンの先にはウッドデッキの物干し場があり、洗濯機のある洗面所からまっすぐキッチンを横切って、物干し場に通じます。
そのウッドデッキにはベンチや階段も備わり、庭と一体的に使うことも可能です。
西側には孫娘家族の居室があります。
梁を見せて天井の高さを確保、入口扉の両側にクローゼットを備えます。
さらに可動式の収納を備え、可動式の壁を移動することで、2部屋に仕切って将来の子供部屋としても使えるアイデア付です。
廊下を挟んで反対側が娘さん夫婦の寝室、ウォークインクローゼットが備わり、トイレも備わります。
玄関の正面に階段を配置、階段下は収納として活用しています。
2階は広いワンルーム空間、床をタタミと板貼りの半分づつとして、梁を見せることで天井高さを確保しています。
書斎として使えるカウンター机付きで、古い長持ちを半分に切った収納家具や火鉢を再利用した座卓も備わります。
たっぷりの押入れ付きで、客間としても活用できます。
今回の 劇的!ビフォーアフター 物件239 行く手が険しい家 は、思い出の素材をたくさん使いつつ、まったく新しい空間を生み出していたところが印象的でした。
いたるところに使いやすさや動きやすさを高めるアイテムを詰め込み、ちょっと満腹気味といえるほど豊富なアイデアが見られました。
開放的で広い昔の住まいの部屋を上手く再配置して、使いやすさやつながりを備えてまとめた点にも、上手さを感じるところです。
古い民家のリフォームに慣れた匠らしく、補強やリフォームプランに安心感もありました。
古民家リフォームの好例として、参考に出来る部分が豊富に盛り込まれた内容だったといえそうです。