物件263 母親と同居できない家 劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック
劇的!ビフォーアフター 物件263 母親と同居できない家(山梨県甲府市 山本家) で紹介されている、リフォームの役に立つアイデアをチェックしましょう。
今回の劇的!ビフォーアフター 物件263 母親と同居できない家 は、介護が必要な103歳のお母さんと、依頼主さんと娘さん夫婦と二人の孫の4世代6人が
同居して暮らせるためのリフォームとなります。
築53年となる木造平屋建ての住まいの建坪は37坪、2つの建物をつないだため段差が多く、無理につないだ屋根からは雨漏りも発生しているようです。
また廊下も狭いなど、介護の際にいくつも支障が出る状態。
物が多い台所は狭く、廊下にはみ出す冷蔵庫や勝手口を塞ぐ洗濯機、脱衣室がない浴室や入りにくいトイレのドアなど水回りの使いにくさも目立ちます。
子供部屋を利用したオーディオルームには、大きなスピーカーや高級ステレオ、たくさんのCDが置かれています。
お母さんの希望は、自分で何でもできる家。
リフォームの予算は3300万円、既存の建坪に対しては新築しても余るほど十分。
そこで6人分が余裕で暮らせる空間を如何に作り出すか、また音楽の趣味やお母さんが自分で生活できるためのアイデアなど、注目ポイントが多いリフォームとなり
そうです。
広い庭は依頼主であるご主人が手入れを行い、物が多い引っ越しが始まります。
引っ越しが済んで、いよいよ解体がスタート。
解体が進むと、骨組み部分は比較的いい状態でした。
ただ梁が細く、南側に壁がほとんどなく、構造的には不安があります。
またつなぎ目部分の屋根回りには、雨漏りによる傷みも見られます。
床下は鉄筋コンクリートの土間で補強、2つの建物は基礎でも一体化されます。
細い梁は新しい梁を下に追加して補強、比較的新しい屋根瓦を撤去すると、つなぎ目に段差がありました。
そこで離れの小屋部分も解体、母屋部分と同じ高さで屋根を揃えます。
そこに束柱を立て屋根の高さを上げて窓を取り付け、ハト小屋空間(置屋根)を作り出しました。
新しくできた高い位置の壁部分に窓を取り付け、光を取り入れつつ、排熱や通風効果を高めます。
さらにロフト空間を作り出し、有効に使える空間を増やしました。
軒先から90cmの位置に、細長い穴を空けています。
屋根や壁に断熱材をかぶせ、外断熱としました。
壁から屋根まで断熱材を通すために、屋根に細長い連続した穴を空けたようです。
ここで匠は地元の能登にある材木センターを訪れて、能登ヒバを入手。
製材して重ねて接着、集成材を作りました。
その集成材をさらに加工、大型の木製窓を作りました。
集成材とすることで木材のゆがみ(狂い)が少なくなるので、納得できる手法と言えます。
ガラスはトリプルガラスとして、窓部分の高い断熱性能を獲得。
その窓の幅は合わせて8mにも及び、気密を確保しつつ軽く動かすことができるハンドルを付けて、庭に面した南免の壁に取り付けました。
ここで現場に114cmの記録的積雪、工事が中断となってしまいました。
庭の資材は雪に埋もれてしまったので掘り出し、屋根の雪下ろしをして、ようやく工事が再開です。
床下には温水式の床暖房を設置、床は段差なく仕上げます。
玄関右手がキッチンスペース、匠オリジナルのシステムキッチンが設置されています。
対面式で、ダイニング先の庭を眺めながら料理ができます。
窓の外には広く段差なくつながる縁側、ここでお婆ちゃんは104歳の誕生日を迎えました。
通りに面した木を移植して、門から玄関までの従来のアプローチに加えて、玄関から駐車場に続くスロープを作ります。
スロープ面にはコンクリートが乾く前にゴザを敷き、上からコテで押さえてゴザの凸凹を移すことで滑り止めとしました。
駐車場から玄関まで、車いすで安全にアプローチできます。
広い玄関内の段差も最小限として、車いすで入りやすいバリアフリーの入り口としました。
ここで匠はなじみの鉄工所に出かけ、ステンレスパイプなどを加工。
外と室内で同じ車いすを使うので、車いすの車輪を乗せて拭きやすい、車いすの仮止め装置を作ったのです。
玄関収納の中に組み込むことで、使わないときは収納してすっきり使えます。
リフォームが完成して、置き屋根が付いた屋根は一新、外壁も漆喰に腰板と和風の趣にまとめています。
玄関は一をずらしたことで植栽が目隠しとなり、プライバシーも高めました。
木製の玄関引き戸は幅が広く、広い玄関も併せて車いすでも使いやすくなりました。
家族が増えるため玄関収納もたっぷり確保、玄関をまっすぐ入るとおばあちゃんの部屋となります。
ベッド脇の壁に収納スペースを確保、普段はLDKとつながっていて、建具で2面を仕切ると個室になる作りです。
玄関左手、部屋のすぐ隣に車いす対応のトイレを配置。
収納を豊富に配し、手洗いは自動水栓として使いやすさを高めています。
中廊下だった壁を利用してダイニングとキッチンを分離、一部を開口としてキッチンカウンターを作り出しました。
ダイニングスペースの木製大窓には内障子も入り、ダイニングテーブルには、大きくなりすぎた記念樹を切ってとっておいた松丸太から切り出した枠の上に強化ガラスを
敷いたもの。
そのガラスも、木の形に合わせてカーブする凝りようです。
ダイニングの奥には小上がりの座敷、床下には引き出しも付き収納量を確保。
座敷には掘りごたつが備わり、日本庭園風に手入れされた庭の景色を楽しめます。
ストライプデザインのふすまで仕切ることができ、客間としても使えます。
キッチンスペースは長いシステムキッチンに加えて、上部には昇降式の吊戸棚、背面には作業カウンター付き収納を配して、使いやすさを高めています。
キッチン隣が洗面脱衣室、スタンダードサイズの洗面台と洗濯機置き場の背面に、家族6人分の収納棚が備わります。
浴室はシステムバス、洗面から浴室周りについては特にバリアフリーは意識していないようで、一般的な作りです。
広い縁側にはスロープもついて、車いすで庭に出ることもできます。
その縁側の一角にはバーベキューグリルを設置、これはお孫さんたち二人の作業によるものでした。
お父さんの部屋は防音処理を施し、壁には本棚兼CD棚やステレオ置場を作り、寝室兼オーディオルームとしています。
スピーカー周りが窪んでいるので音響の面では弱点となりそうですが、広さと使いやすさを考えれば程よい計画でしょう。
CD引き出しには音楽のジャンルを示すパネルを付けて、選びやすくする工夫付きです。
庭を見ながら音楽を楽しめる向きになった点も、プラス要素となります。
離れ部分は2つに仕切って、孫二人の子供部屋となりました。
クローゼットと机が一体の家具が備わり、小屋裏を現した高い天井にロフトも付きます。
廊下の突当りには地窓を付けて、上部を収納として活用。
隣のトイレはタンクレスとして、スペースを有効活用しています。
おばあちゃんの部屋の奥が娘さん夫婦の寝室で、収納スペースをしっかり確保。
自宅で仕事をするためのワークスペースも備わり、必要に応じて障子で仕切れます。
窓にも内障子付、窓も広く穏やかな明るさを確保しています。
ワークスペースの収納には階段が備わり、8畳ある広いロフトに上がることができます。
ロフトの先にはリビングダイニングとつながる通路付、リビングダイニングの通風にも効果を発揮します。
今回の 劇的!ビフォーアフター 物件263 母親と同居できない家(山梨県甲府市 山本家) は、豊富な予算を活用した高い断熱性能と庭の景色を楽しむ工夫が印
象的でした。
外断熱と3重ガラスの窓で住まい全体の高い断熱性能を確保、床暖房を組み合わせ、快適なし使いの温度環境を実現していたようです。
使用する材料や設備についても、豊富な予算を反映した上級グレードが使われていたようで、新築だったらもう少しグレードが下がっていたでしょう。
造り付けの家具もデザインはスタンダードながらよく考えられたもので、使いやすさを高めていたようです。
庭を楽しむための断熱性能の高い大窓も印象的で、障子を組み合わせて和風にまとめていました。
細かいアイデアの積み重ねで作った快適なリフォーム空間は、様々な住宅のリフォームにも参考にできそうな内容だったといえそうです。