物件264 孫がハイハイできない家 劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック
劇的!ビフォーアフター 物件264 孫がハイハイできない家(岐阜県岐阜市 細江家) で紹介されている、リフォームの役に立つアイデアをチェックしましょう。
今回の劇的!ビフォーアフター 物件264 孫がハイハイできない家 は、出産を機に息子さん夫婦と同居することになった両親の住まいのリフォームとなります。
鉄筋コンクリートの住まいの1階は11年前にやめた喫茶店がそのまま残り、そこをLDK空間として使用。
1日中靴を履いた生活で、生まれる孫のハイハイは2階ですることにすると、普段生活するLDK空間と離れてしまいます。
建物は外壁のコンクリートに亀裂が入り、ブロック壁の目地が外からわかる状態。
敷地ギリギリに建つので庭や駐車スペースがなく、生活空間に繋がる玄関脇にお父さんが新聞配達に使うバイクが置かれ、オイルの臭いなども気になります。
厨房機器は故障も目立ち、低い位置の業務用冷蔵庫や狭く傷んだ脱衣室、急で天井が低い階段など古さや使いにくさも目立ちます。
2階は西側に窓が多く、夏は暑さが厳しく、屋上の物干し場に上がる階段も急です。
リフォームの予算は2500万円、結構広く古い鉄筋コンクリートなので、耐久性を回復するためにかなりのコストが予想され、予算の配分バランスが気になります。
そこで、古い鉄筋コンクリートの修復方法と断熱性能の確保、そして細長い建物を活用するプランや内装のコストバランスなど、今回はたくさんの注目ポイントがありそ
うです。
奥さんは出産のために里帰り、引っ越しが済んで解体が始まります。
解体が済むと、鉄筋コンクリートの柱梁に壁がブロック積という構造体があらわとなります。
壁がブロックで強度がない割には柱や梁は細め、その梁は一部が削られて鉄筋が露出。
コンクリートの土間を解体して地中梁を確認すると、こちらもコンクリートが削られ、鉄筋がさびてしまっています。
鉄筋部分の錆はほとんど進んでいなかったので、共にコンクリートを多めにかぶせて補強。
そして中央あたりの2階床の一部とその上の屋根を解体、床面積を減らす(軽くする)ことで残った鉄筋コンクリートにかかる負担を減らす作戦です。
面積に余裕があったので減らすことができたことに加え、将来リンチに建物が建った時の陽射しや通風を確保するという目的もあります。
匠は研究施設に出かけ、自由に曲がる四角いアクリル樹脂板を確認しています。
ここで奥さんが無事出産、男の子が生まれて、リフォームにも気合が入ります。
1階床下には一面に土壌蓄熱式の電気式床暖房を設置、熱が地中に逃げやすいという弱点はありますが、熱容量が大きく温度が安定する効果は高くなります。
さらにパイプを地中に配置、温まった空気を2階に吹き出すことで2階の暖房にも活用。
夏には、地中の冷たさを2階に運ぶ役割も果たします。
ここで鉄骨のパーツを搬入、梁と地中梁に鉄骨パーツを固定して、間の隙間に揺れを吸収する制振ダンパーを組み込みました。
匠が確認していたアクリル樹脂は、制振ダンパーのパーツだったようです。
もともと変形量が少ない鉄筋コンクリート構造なので、鉄骨造に組み込んだときほどの効果はなさそうですが、ある程度は期待できるでしょう。
ここで鉄骨階段も搬入、見えないクレーン車と無線で連絡を取りながら慎重に取りつけます。
4本の鉄骨柱も穴を空けたコンクリート床の4隅に設置、中庭周りのサッシを支えるとともに、床の荷重も支えることで建物を補強しました。
屋上には断熱材を敷き込み、外断熱とした上にシート防水で仕上げます。
コンクリートが室内温度で安定するので、鉄筋コンクリートの住まいでは大きなポイントとなる断熱方法です。
外壁もコンクリート(ブロック)の外側に断熱材を張って、外断熱するでしょう。
と思ったら外壁は現場発泡の内断熱、外に貼る敷地(またはコスト)の余裕がなかったのでしょうか。
外壁の熱が屋根コンクリート(現し仕上げなら室内にも)に回りそうで、ちょっと中途半端な印象です。
床のフローリングはタモの無垢板、壁の一部には地元の東濃檜を貼って仕上げています。
1階中庭の奥が両親の部屋、2階道路側に広いLDK空間が生まれました。
中庭を介してLDKから両親の部屋が伺える、つながりのある空間としています。
LDKの長い西側の壁が一面檜、赤ちゃんがハイハイしても安心な仕上げとなります。
ここで多量のプラスチックの容器を持ち込み、中庭のコンクリート壁に丸い穴を空けています。
ステンレス枠にプラスチック容器を並べたものを中庭の壁に固定して、井戸水を散水できる配管と排水溝を設置。
散水はいちばん上だけで、その下には真上のプラスチック容器から溢れた水がだんだんに落ちる仕掛けです。
そのプラスチック容器に植物を植えて、2階まで壁一面のプランターとしました。
緑の打ち水効果や、コンクリート面が熱くなることを抑える効果が期待できます。
壁に空けた穴は、空気が上部に抜けやすくするためのものでした。
リフォームが完成して、外観は西向きの窓をほとんどなくして、落ち着きのある濃い茶色で仕上げました。
窓には木板を2枚並べて貼って転落防止兼アクセント、玄関は奥にずらして1台分の駐車場を確保。
道路とはスロープでつながり、内壁は白く仕上げています。
そこに木製の玄関ガラス戸と納戸扉を組み合わせ、ナチュラルモダンな印象でまとめています。
玄関引き戸を入ると、階段下を利用したベビーカー置場あります。
左手は開け閉めが邪魔にならないスライド扉の下足入れで足元に間接照明付、制振ダンパーが収まる鉄骨部分を活用した小物入れも備わります。
玄関右手が階段で、奥の廊下の左手が中庭、右手が手摺付きのトイレとなります。
中庭床はウッドデッキ、奥が2つに仕切られる両親の生活空間です。
廊下右手の中庭前あたりに冷蔵庫、その隣にコンパクトキッチンが備わります。
手前の部屋はキッチン前がフローリングで、残り半分のテレビ台の前が畳敷き。
中庭に面した窓は全開放できるタイプで、明るい空間で天井はコンクリート現しで白く塗装。
ベッドが二つ並ぶ寝室空間の天井は杉板で、天井の継ぎ目となる部分の天井裏を居間側の間接照明として活用しています。
居間側に仏壇スペース、寝室側には窓を塞がないように一部を斜めの壁(扉)としたクローゼットが備わります。
中庭の対面の玄関裏が洗面所で、たくさんの収納スペースと洗濯機置き場を確保。
こちらも全開できる窓で、中庭が物干し場にもなります。
壁は黒のモザイクタイルで、浴室とはスリガラスの扉と腰窓でつながります。
浴室の壁も黒のモザイクタイル、浴槽はハーフユニットで浴槽のエッジがスマートなデザインの製品を選択しています。
浴室窓は四角い小窓、家族内でのプライバシーは、洗面所窓のブラインドで確保するようです。
鉄骨階段は踏み板に木を敷いて、壁側の手摺も木、廊下側手摺は鉄骨パイプとして開放的で無駄な空間なくまとめています。
上がり切った部分にガラス戸が付き、冷暖房の無駄をなくします。
駐車場から玄関上部分がLDK、床には土壌蓄熱部分につながるパイプが見えます。
天井や梁部分はコンクリートを現して白い塗装仕上げ、天井高をたっぷり確保しています。
キッチンは対面式、背面にはカウンター収納と腰窓が続きます。
そのキッチンのワークトップは、銅の粉末で塗装した特別製。
古い店舗のカウンターテーブルを下地として再利用。
そこに本格的なガスコンロとステンレスのシンクを組み合わせています。
レンジフードは古い銅板のレンジフードを小さめに加工して再利用、思い出の傷や汚れが残っています。
キッチン脇には、家事コーナーや勉強スペースとなる長い机が備わります。
中庭前の廊下部分に洗濯機置き場とトイレを配置、その奥が息子さん夫婦の寝室となります。
緩くなった屋上に上がる階段の下は収納として活用、その対面の壁はヒノキ板で、外して天井根太の溝にはめて、2つに仕切って子供部屋を分けることができます。
ちょっと固定が不安定で寝室側が暗くなる印象もありますが、面白いアイデアです。
屋上に上がる階段の一段目にも土壌蓄熱の吹き出し口があり、塔屋部分の天井は通路以外の天井高さを140cmに抑えて小屋裏収納として法規に適合。
塔屋部分は黒い仕上げとして、屋上の手摺も一新。
屋上は一部をウッドデッキとして大きなテーブルとベンチを配置、庭として活用できる屋上としました。
エアコンの室外機は木の斜め格子で覆い、目隠ししています。
今回の 劇的!ビフォーアフター 物件264 孫がハイハイできない家(岐阜県岐阜市 細江家) は、減築と鉄骨補強で古い鉄筋コンクリートを現代の基準に合う建
物として復活させた点が印象的でした。
無駄に広い部分を減築、中庭として陽射しや通風を効果的に室内に取り入れ、玄関前にも駐車スペースを確保。
室内に柱が立たない細長い鉄筋コンクリート構造の利点を生かし、広いLDKや自由な間取りを実現していました。
外壁の内断熱など残念な部分もありましたが、西日を遮りつつ採光を確保する中庭の造りなど、構造を選ばず細長い住宅をリフォームする際の参考にできそうなアイデア
豊富な内容だったといえそうです。