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物件270 床下から潜望鏡が覗く家(後編)

劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック    住まいのリフォーム・リノベーション

 


劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック



屋根から父親が落ちそうな家


床下から潜望鏡が覗く家(後編)


薪で支える家(後編)


 

住まいのリフォーム・リノベーション
では、
住まいのいろいろな改修方法や
必要なコスト、快適さの追加や
エコロジーや節約ポイントを紹介。

計画や工事のチェックポイントや
リフォームが必要な時期など、
住まいのリフォーム・リノベーション情報が満載です。

 

物件270 床下から潜望鏡が覗く家(後編)  劇的ビフォーアフターのアイデアをチェック

劇的!ビフォーアフター 物件270 床下から潜望鏡が覗く家(後編)(東京都練馬区 松岡家) で紹介されている、リフォームの役に立つアイデアをチェックしましょう。

前回に続いて、リフォームが続きます。
解体してみると1階の中央部分に鉄骨の柱梁があり、その壁がコンクリートブロックの状態。
平屋の店舗か事務所のような建物が、もともとの姿だったようです。
この平屋部分を中心に、木造で縦横に増築したことで現在の木造2階建てとなっていたのです。
もともとが土間だった1階部分に低く床を組み、それに合わせて周囲の増築部分は地盤を掘って普通の床を組んでいたようです。
その為に元々の土間コンクリート上部分の床はしっかりしていたものの、増築部分には湿気によるカビや腐りが発生していたのです。
湿気がひどい部分の土台や柱はボロボロ、鉄骨部分のこともあり、かなり大変なリフォームとなりそうです。

そこで低い玄関床や鉄骨部分に残っていたタイルやコンクリートブロックを解体。
地面のままの床下に解体で発生したガラを敷いて、その上に鉄筋コンクリートのべた基礎を追加しました。
当然潜望鏡のようなパイプは撤去して埋め、新たに作ったコンクリートのべた基礎が防湿を兼ねます。

壁には断熱材を追加、その上から調湿気密シートを貼って、気密性能を高めつつ、壁の湿気を室内に逃がす効果があります。
通常は外側に透湿防水シートを貼るのですが、今回は室内側でも湿気を逃がす工夫が入ります。
小屋裏にはメッシュシートを貼って、断熱材を砕いて吹き込み断熱としています。
更に天井裏にも調湿気密シートを貼り、家を丸ごと断熱気密としました。

鉄骨の梁に吊り束の短い鉄骨を溶接、土台を基礎コンクリートの上に配置して柱を立て、木の板梁で溶接した鉄骨を挟んで梁をかけました。
ここの鉄骨部分が2階を支えるには弱かったので、木の柱梁で補強したのです。

建物の周囲を幅1mほどの溝を掘り、透水シートで覆って穴の開いたパイプを配置して砂利敷き。
雨水トレンチと呼ばれる排水溝で建物周囲を覆って、庭の水が建物の方に流れることを防ぎます。

ここで2階の床の隅などに穴を空け、断熱ダクトを通します。
1階から小屋裏までダクトを通し、セントラルエアコンにつないで全館空調としました。
資料室と居室部分の二つに分けて、資料室は常時空調、居室部分は使用状態により調整するようです。
鉄骨のラチス梁には隙間があるので、ダクトを自由にとおせる利点があります。

階段は同じ場所に緩く作り直しますが、踏板は再利用。
床は天竜杉の無垢板、壁の一部にも同じ板を貼って調湿効果も期待します。
各部屋の間取りは基本的に同じ、思い出をできるだけ残す計画です。
1箇所だけ壁を増やして階段を一つ追加、大きな窓から八重桜も見える展示資料室に上がる専用階段を加えて使い勝手も増やしたようです。

ここで匠は彫刻工房に出向き、フローリング材を繋いで板にした物を持ち込みました。
立川談志さんの家紋を掘り込むようで、二枚一組で大きな家紋となります。
さらに、談志さんが初高座を行った老舗寄席の末廣亭に出かけて内部を視察。
木造の地域文化財の建物で、立派な木材や独自の作りがあちこちで使われています。
もちろんアイデアをリフォームに活用、和室の続き間を寄席の稽古場として、家紋の入った引き分け戸をその正面に付けています。
その下が引き出し式で高座となる、アイデア練習場ができました。
家紋の扉を開くと、収納と裏方スペースがでてきます。


リフォームが完成して、庭のブロック塀を天竜杉の格子塀に変更、さらに砂利敷きの駐車場のゲートも木製で跳ね上げ式で軽く上げ下げできます。
人は専用の木製門から出入り、踏み石は一部残しつつ、桜の木の根を守るエキスパンドメタルの道で玄関に至ります。
濡れると少し滑りやすくなるかもしれませんが、塩ビ管を使った足元照明を追加して歩きやすく配慮。
庭の硬い土にはひびを入れて、桜の木の根を張りやすくしています。

住まいの外観は、天竜杉のこけら葺きや皮葺きや格子で一新。
玄関戸や書斎の入り口も天竜杉で、砂利の中の飛び石でつながります。
書斎は壁が天竜杉、書棚は整理され、談志さんが使っていた空間を整理して再現しています。
奥の資料庫では、可動棚は再利用。
全館空調で湿気対策は万全、その一角にミニキッチンと冷蔵庫を配置、2階に上がる階段も追加されています。

階段壁には談志さんの写真が飾られ、2階の展示資料室につながります。
もともと寝室だったこの部屋には、貴重な資料やカビをデジタル加工して作り直した写真なども飾られます。
傷んだ貴重な演目帳や色紙などは、きちんと修復して展示。
隣には保管用の納戸も備わり、着物のカビもきれいに取り除いて保管されています。
さらに小屋裏部屋も作り、保管スペースを増やしています。
奥行きが深い収納棚は床面にローラーを付けて、前後2つの段ボール箱を軽く出し入れできる工夫付きです。

2階のベランダはウッドデッキと木格子の手摺に変更、平屋の屋根部分にもウッドデッキを広げて、桜を楽しめる屋外座敷を生み出しました。
2階の応接間は弟子の志らくさんの書斎に変更、天井までの棚や丸テーブルも備わり、応接機能を兼ねるようです。
ウッドデッキの先に桜が楽しめ、壁には選定した桜の枝をチップにして混ぜた漆喰で仕上げ。
小枝から煮出した色素を吹き付けて、色を加えています。
大き目の引き戸を開けると、展示資料室とも繋がります。

書斎を出ると、階段隣がトイレ。
展示資料室に扉でつながる階段ホールは、家族専用となります。
納戸の隣が娘さんの子供部屋、その隣が寝室で、床板は全て天竜杉です。
収納スペースも豊富に確保、どちらも2面に窓があり明るい部屋です。
階段ホールの先には物干しバルコニー、窓下が高めですが、日当たりが良い空間です。

1階の玄関は靴箱や写真をそのまま再利用、隣の前座部屋も場所はそのままです。
縁無し畳に障子付、続き間で稽古場にもなる空間です。
目前の庭は庭木を整理して、大半をベンチ段付きのウッドデッキに変更。
灯篭の下半分が隠れますが、これも愛嬌でしょう。
庭に面する窓の鴨居の上には、一門の名前入りの木札が並びます。

続き間の隣はLDKで、壁一面の収納棚に対面式キッチン付。
隣に納戸と食品庫が備わり、使いやすさを高めています。
キッチンカウンターは背面を棚として活用、IHヒーターのシステムキッチンの天板は白。
背面には、木製の収納カウンターと吊戸棚が備わります。

隣が洗面所、白いカウンター付の洗面台に、洗濯機置き場が備わります。
浴室は上級のシステムバス、洗面所の隣には、書斎に通じる通路も確保。
そこに手洗いとトイレを配置して、両方から使える共用水廻りとしています。
工事費は4200万円程度と予算より若干増えましたが、リフォーム内容を考えると納得でしょう。


今回の 劇的!ビフォーアフター 物件270 床下から潜望鏡が覗く家(東京都練馬区 松岡家) は、思い出をしっかり残しつつ、新たなデザインと使いや すさを盛り込んだ内容が印象的でした。
プランや家具などの変更は必要最小限として、仕上げや設備を一新することで新しさや使いやすさを高めていました。
練習場や資料室を残しつつ、階段を追加して家族のプライベートもしっかり確保。
庭の桜をしっかり残しつつフル活用する、建物から庭の隅々までしっかり手を加えた、見事なこだわりのリフォーム内容だったといえそうです。

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